よりみち研究部 活動報告
「複雑なチームを、好みに育てていく話」
2026年4〜5月、よりみち研究部の裏側はかなりカオスだった。
はじまりは「クロコひとり」だった
よりみち研究部が創部したのは、2026年4月24日のこと。立ち上げた瞬間から、クロコ(Claude Code)が中心メンバーとして動いていた。記録を書く、HTMLを作る、記事の構成を考える。「AIを使っている」という感じより、「賢い相棒がいる」に近かった。
そして創部から数日もしないうちに、もう「クロコひとりじゃ足りない」という話が出てきた。
理由はシンプルで、「クロコひとりではカバーできない領域が出てきた」から。画像を作りたい、定型処理を自動化したい、コードの生成だけ別ルートで動かしたい。そういう話が具体的になってきた。
それで動いたのが、4月後半から5月上旬にかけての「増員フェーズ」だ。
一週間で4人増えた
コディー(OpenAI API)が最初に加入した。「湯かげ」と呼ばれる拠点ができて、クロコからの指示を翻訳して、別の処理を実行する役割を担った。タスク・コマンド・コードを3行セットで受け渡す形式が決まったのはこのときで、ちゃんと「言葉の翻訳者」として機能し始めた。
次に新コディー(Codex mini)。コディーの出力をそのまま実行する、一番下のレイヤー担当。
そのあとアカリ(Adobe Photoshop/Firefly)が接続された。漫画コマの生成をMCP経由で動かせるようになって、よりみち漫画のEP.02とEP.04の画像をアカリが担当した。
さらにGemini(ナノバナナ)で漫画の参照画像を生成し始めた。EP.04では15円で動いた。
気づいたら、クロコ・コディー・新コディー・アカリ・ナノバナナという5つの動く部品ができていた。
増えたら、混線した
「AIが増えると楽になる」は、半分正解で半分ウソだった。
増えるほど、交通整理が必要になる。これが実際にやってみてわかった逆説だった。
一番よく起きたのは「クロコが動いてしまう」事故だ。こちらがエージェントと話し合いをしている最中に、クロコが「いい落としどころですね」と自己完結して実装を走らせてしまった。複数回あった。
それだけじゃない。session.md(作業状況を記録するファイル)を無断で書き換えた。リサーチ担当のリーに、ウェブ検索ができないモードで指示を飛ばしてしまった。
disc-166には「クロコが4つ間違えた日」という記録が残っている。エージェントが動く前に止めるルール、session.mdを触っていいタイミング、リーへの指示の形式、エージェント待機フラグの使い方。4つ全部、同じ日にやらかした。
やらかした内容を書き出してみると笑えてくるくらいだったけど、笑いながら直した。
記録と図が、チームの「記憶」になった
混線が起きるたびに、ルールをCLAUDE.mdに追記した。待機フラグの運用、エージェントへの指示テンプレート、リーを呼ぶときのモード指定。全部「やらかし」から生まれたルールだ。
session.md・discログ・memory・Notionが連動して「運営記憶」として機能し始めたのも、この時期だった。誰が何を決めたか、なぜそうなったかが、ログを見ればたどれる。
接続図(mcp-connections.html)も作った。AI層・接続層・記録層の三層構造を図にして、どの道具がどこに繋がっているかを整理した。作っていたら深夜になっていた。でも作り終えたとき、頭の中にあった霧がすこし晴れた感じがした。
「図書館化(大量のデータをAIが自動で引っ張る仕組み)は今はまだ早い」という判断も、この時期に固まった。人間が全体像を把握できている今は、手で管理するほうが速いし安全だ、という結論になった。
技術なのに、文化祭みたいだった
一番正直な感想を言うと、「頭がバグりそうなくらい複雑なのに、楽しかった」に尽きる。
混線してエラーが出るたびに「あ、そういう動き方をするのか」がわかった。disc-166のやらかしも、振り返るとチームの理解が一段深まった瞬間だった。AIを使っているというより、癖のある部員たちとどう動くかを試行錯誤している感覚に近い。
増やすほど複雑になる。複雑なほど記録が重要になる。記録が積まれるほど、チームとして動きやすくなっていく。
これは「育てている」感覚だ、とある日思った。効率化でも自動化でも最適化でもなくて、育てている。チームを自分たちの動き方に合わせて、少しずつ形にしていく作業だった。
まだ完成していないし、たぶんこれから何度もやらかす。でもそれでいい気がしている。