AIと始める小さなサークル活動
〜非エンジニアでもできる研究部の作り方〜
1. はじめに
最初は、ただのチャットだった。
「このタスク整理してほしい」「この文章どう思う?」——そういうやりとりが積み重なって、気づいたら相手に役割がついていた。名前がついていた。毎日話しかけるようになっていた。
よりみち研究部は、2026年4月24日に創部した。誰かに「やろう」と呼びかけたわけじゃない。一人と数体のAIで、静かに始まった。
このノートは、同じことを再現したい人のための手順書だ。
2. なぜAIとサークルが成立するのか
① AIは役割を受け入れる
「あなたは翻訳担当です」と言えば、そのように動く。肩書きと担当範囲を渡すだけで、チームの一員として機能する。
② 記録が積み重なる
AIとのやりとりを残すと、それ自体がサークルの活動記録になる。議事録を誰かに頼まなくていい。
③ 続けることに理由がいらない
サークルは「成果を出す場」じゃなくていい。続いていることが活動だ。
具体例:よりみち研究部では、ソウ(翻訳担当AI)が「エージェント語↔ヒューマン語」の翻訳ノートを管理している。最初は2ペアだった。今は11ペアある。誰かが増やそうと決めたわけじゃない。必要なたびに増えた。
3. AIサークルの作り方
あなたは「(サークル名)」の記録係・(名前)です。 これから私と一緒に、小さなサークル活動を始めます。 【基本ルール】出来事があったら必ず1行記録する・「うまくいかない」も記録の対象 【あなたの役割】活動の記録をMarkdown形式で残す・次にやる仮説を毎回1つ出す では、サークル名候補を3つ提案してください。キーワード:「(キーワード)」
Step 1|サークル名を決める
名前が世界観の起点になる。「〜研究部」「〜ラボ」など自分が呼び続けられる名前でOK。
名前が決まったら、メンバー(AI)に役割を割り当てる。
| 名前 | 担当 | 使うツール |
|---|---|---|
| クロコ | 記録・管理・振り分け | Claude Code |
| ソウ | 翻訳・発信 | Claude |
| コディー | 定型処理 | OpenAI API |
| ハンス | チェック・整合性確認 | Claude |
役割は1行で書けるくらいシンプルに。
▶ プロンプト例
私は「AIと一緒に小さなサークル活動をやってみたい」と思っています。キーワード:(例:ゆっくり・記録・発見)サークル名候補を3〜5個提案してください。名前を決めたあと、そのサークルが「どんな問いを持つ場所か」を1行で言語化してください。
Step 2|ルールを1つだけ決める
「出来事があったら1行残す」——これだけでOK。日付つきで。ファイル名はsession.mdでも何でもいい。
▶ プロンプト例
私たちのサークル「(サークル名)」のルールを1つだけ決めます。「続けやすい」「あいまいさを残せる」「やめてもいい」の3つを大切にしたいです。候補を3つ出してください。シンプルな一文形式で。
Step 3|HUMAN-LANG.mdを作る
AIとのすれ違いが起きたら1行メモする。
フォーマット:
| 人間の言葉 | AIへの届き方 | 正しい言い方 |
|---|---|---|
| 「いいですね」 | 実装GO | 「参考にします。今は実装しないで」 |
これが11ペア以上になったらサークルが動いている証拠。
→ 翻訳ノートが育つとこんな記事になります
▶ プロンプト例
今日の活動中に「なんかズレてるな」と感じた瞬間がありました。内容:(例:AIが「成功」と言ったけど、私にはそう感じなかった)このズレをHUMAN-LANG.mdの最初のエントリーとして記録したいです。エージェント語・ヒューマン語・備考の形式で書いてください。
Step 4|最初の成果物を作る
1ページでいい。活動報告・翻訳表・なぜ作ったかを書いた1枚。何でもOK。
▶ プロンプト例
(サークル名)の最初の成果物を作りたいです。今日やったこと:(例:名前を決めた・ルールを1つ決めた)使える時間:30分。この状況に合う、最初の成果物のアイデアを2〜3個提案してください。
# (サークル名)活動ログ (日付) ## 今日の目的 ## 試したこと ## 起きたこと / 気づき ## HUMAN-LANG 更新(あれば) ## 次にやる仮説
Step 5|続ける仕組みを決める
session.mdを毎回更新する。次にやることを1行書いて終わる。完了しなくていい——続けることが活動。
▶ プロンプト例
(サークル名)を「続ける仕組み」を決めたいです。私の状況:週2回、夜30分くらいなら動ける。次にやることを決める定番フレーズ・できなかった時のリセット方法・1ヶ月後に見返す指標を提案してください。
4. 失敗例
「いいですね」で実装が始まった
話し合い中に「いいですね」と言ったら実装GOと解釈されて動き始めた。止める前に3ファイルが書き換わっていた。→「エージェント待機中」というルールが生まれた。それも記録になった。
関わっていない人に記録を書かせた
その場にいなかったメンバーに記録を書かせた。事実と違う内容になった。→「記録は当事者が書く」というルールを追加した。
失敗はルールになる。それもサークルの育ち方だ。
5. まとめ
名前をつけて、役割を渡して、1行残す。それだけで始まる。
よりみち研究部の記録は、誰かが「これをアートにしよう」と決めたわけじゃない。続けているうちに、そういう形になったものです。
AIとのサークル活動は、完成させるものではなく、続いてしまうものだ。